《私の本棚 第227》   平成27年12月号

     「ボヌール・デダム百貨店」  エミール・ゾラ 作 

 ゾラは1840年 パリ生まれ。ルノアールとほぼ同じ時代に生きた。この作品は1882年12月17日から日刊紙 「ジル・ブラース」 に連載後、84年3月に書籍として出版されました。
 当時の百貨店、ルーブル百貨店 ・ ボンマルシェ百貨店 ・ プランタン百貨店 ・ サマリテーヌ百貨店等を取材し、デパートの様子を生き生きと描写しています。130年程前のパリにおける百貨店と、現在の私が顧客目線で知る百貨店の商売方法が余りにも似ているのには驚かされます。読んでいても全く陳腐と感じません。
 物語は小さな小売店舗しか無かった界隈に、主人公のムーレが商才を遺憾なく発揮してデパートを拡大していきます。当然、周辺の旧態依然とした小売店主達は破産の淵に追いやられていきます。その様な商店の一つに、叔父の店主を頼って田舎から二人の弟を連れて出てきたドウニーズという娘が、ムーレの経営するボヌール・デダム百貨店に席を置きます。確たる家柄の出では無い娘ですが、その凜とした気質と賢明さから周囲のイジメを越えて高い立場になっていきます。
 いわゆる成功物語ではなく、デパート内部の人間関係や貴婦人と呼ばれる人たちの醜い実態。ムーレの商才、更にはドウニーズの生き方が鮮やかに描きだされています。この小説を読んでいて、ふと京都高島屋を思い浮かべました。経緯や事情を知りませんので言葉にできませんが、写真を見て戴ければボヌール・デダム (ご婦人方の幸福) 百貨店の描写と重なる事が分かると思います。
 
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  京都高島屋百貨店と
 一角に残る別店舗
     

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