2018年4月28日(土)〜5月6日(日) 四国 39番延光寺から67番大興寺まで・・・こども達と一緒に巡ったみち 69歳(もうすぐ70歳) 第7日目(5/4) 60番横峰寺 |
朝起きると、朝食券が見当たりません。昨夜は暑くて寝苦しかったので窓を少し開けていました。相当な風が吹いていたので大丈夫かなあと思いながら寝ていたのですが、夜中に何かが落ちる音で目が覚めました。取り敢えずその時に窓は閉めたのですが、朝食券が見つかりません。部屋の隅々まで探しましたがありません。窓から吸い出されたかもと思って下を覗きますが、落ちたとしても見える筈もありません。レストランで見当たらないと告げることにしました。 「あ、鍵で分かりますから良いですよ」 と言ってもらって着席。結構早い時間帯でしたが、なんだか里帰りのご一行らしい人達も食卓についていました。・・・・うーん、正直なにを食べたのか忘れました。今日の予定は60番横峰寺だけですから気持ちは落ち着いています。ここさへ登り切れば明日の行程は何と言うことはないはずです。黒瀬ダム湖から5時間かかろうが6時間掛かろうが構わない。どれほど苦しくても困難でも登り切るつもりです。当初の予定がホテル出発8:30、それを5:30に早めたり実際には8:10出発と相当気がかりだったことがうかがえます。こんなに険しく長い道のりを走った経験はありません。その上嘆かわしいことに道を間違えてばかりです。さて出立します。 凡そ5.6qの所にローソンがありました。注意メモに従って食料を仕入れます。 |
あんパンとお茶とアクエリアス、それにのり弁当とざるそば。 思い出しました、これは全部背中のリュックにいれたことを。 だいぶ重かったですね。 海苔弁当はお寺の休憩所で食べましたが、ざるそばは ホテルマイルドで夜食?に食べたような気がします。 空をホテルのゴミ箱に捨てた記憶がありますからね。 あんパンはどうしたでしょう?ひょっとしたらこれも夜食? 食べ過ぎの気もしますね。 |
昨日64番前神寺に参ったとき氷見交差点の寺への標識は見ていました。ですからホテルで再確認の地図を行程表に書き加えています。なのに々々々、日が変われば古い標識の交差点を右折し住宅街に進入。曲がりくねった狭い道をウロウロしています。これは私が方向音痴とか頭が悪いなんていうものでは無く、70歳にして過酷ともいえる行程を走っているために、思考力が極めてまずい状態にあったのでしょう。こうして書いて居る今になってみれば、なぜもう少し先の札所名を大きく書いた信号を曲がらなかったのか。昨日確認していたのに!!。自分でも理解に苦しみます。しかしこういった経験も・・・己を知る・・・という大切な自覚に繋げるよう反省しつつあります。で、住宅地へ入って最初に尋ねた人は随分ご老体で全く要領を得ない。他府県ナンバーの高齢者二人乗りの車も迷っているらしい。取り敢えずそれらしい方向へ進むと少し広い道に合流。ふと見ると若い男性が家から出てくるところでした。声をかけると女の子と男の子の幼い姉弟も出てきます。更には奥さんも出てこられました。お出かけの所申し訳ないと思いつつ、横峰寺への道を尋ねると、そこを出て・・・・と説明しながら 「でも凄い坂道ですよ、ご存じですか?」 と心配顔です。「ええ、それは知ってるんですが押してでも上がるつもりで来ています」 と答えると、それでもご夫婦とも心配そうな眼で見ておられました。お礼を言って走り始めると後ろから 「さようなら〜!」 と子供さんが声を揃えて言ってくれます。振り返ればいいんですがそんなことをすると転倒しかねません。右手を後ろへ回して振りました。角を曲がってから、なんであの子達に「こどもの日」を渡さなかったのか?それがご縁というものなのか不思議でした。どうにか広い道へでて黒瀬湖へ向けて走り始めました。3.9%というとさほどでもないように思われるかも知れませんが、とうに限界を越えているはずの自分にしてはキツい坂道です。松山自動車道の高架下辺りで一度休んだような気がします。9:15 黒瀬湖へ出ました。 |
この場所からは湖はよく見えませんでしたが、少し右へ行くと爽やかな景色が広がっています。気持ちの上では3分の1走行。 |
先の横峰寺へ行くバス乗り場へ行かずに真っ直ぐ進むと石鎚山登山ロープウエー乗り場があるようです。行ってみたいという思いもありますが今日は時間がありません。バス停は直ぐそこにありました。バス乗り場と言ってもマイクロバスが4台ほどあり、乗客の状況によって運行間隔を調整していました。自家用車できてここでバスに乗り換える人や歩きお遍路さんが乗り込んだり、私は見ませんでしたが、大きい観光バスで来て乗り換える人も多いようです。マイクロバスが走るとは言っても自家用車で簡単にすれ違えるほどの道ではありません。4〜5匹の犬が放し飼いにされています。人馴れしているので大丈夫なのでしょう。私がこの場所の隅で一休みしていると、1匹の犬が山の斜面に向かって吠えます。誰かいるのかな?と思って斜面を見ますが、そんな所に遍路道は無くかといって野生動物がいる様子もありません。鳴き止んでは暫く間を置いてまた吠えることを繰り返しています。そういえば今自分が立っている場所は何となく大川小学校の校庭に似ているなと感じていました。あまり広くないバス乗り場は中庭に、横峰寺へ向かう道路は中庭の横にある狭い里道に、犬が吠えている山の斜面は里道横の山肌に・・・・・・・・・・・・・・。 その時の私は、お察し戴けると思いますが、自覚している以上に疲労困憊だったと思います。何となくそんな風景を重ねて思い出しているばかりでした。ここから平野林道入り口まで動画 (残念ですが機能的にアップできません) を撮る準備をしていました。さて出発します。 |
23分で到着しました。ここから先も同じですが、山の高ニ谷川の清流、水や風の音とともに走って来ました。座っていたおばあさんの話しによると、1時間半で登った歩きお遍路さんがいたらしい。その口ぶりからすれば早いというニュアンスが感じられます。持ってきたズック靴に履き替えました。「そうですか、私は3時間かかってもいいと思っているので押して上がります」 と言いおいて、取り敢えず行けるところまで乗って行こうと走り始めました。100メートルか200メートル程は走ったと思いますが、ムリ!こりゃあかんわ!と断念。ここから先は歩きお遍路です。 |
大息をしながらの難行苦行を重ねること1時間50分、山頂の駐車場へ到着しました。ここに至るまでの左路肩は水を流すための溝と路面に接続する爲の傾斜面。傾斜部分は幅もそれなりにありますから、道路は一瞥するほど広く使えません。その溝から右の谷へ向けての斜めに掘られた排水溝が道を横断しています。スチール製の蓋は不安定の上にたまに欠落した部分もあります。車やオートバイのタイヤなら気にすることはありませんが、何しろ自転車のタイヤ幅は23ミリしかありませんから下る時の事を考えながら注視して来ました。 |
お遍路さんの左前方が駐車場への階段 左路肩に白い帯状のものがありますが、これは昨夜降った雪の名残のようです。 |
ここから更に右へ10分ほど下った所に60番横峰寺はありました。もちろん、傾斜は更に急で狭く歩行者も多いので自転車を支えて下りました。 満開のシャクナゲが迎えてくれます。周囲から聞こえてくる会話によれば時期的に運が良かったらしい。 |
お遍路さんは勿論沢山おられましたが、地元のハイカーや花を見に来た人、近くの星ケ森という場所から石鎚山を遙拝する写真を撮りに来た人など様々でした。自転車を固定していると家族連れの一行が足を止めて話しかけてくださいました。私の顔を見ながら
「随分お草臥れの様子ですね。自転車で上がって来たんですか?」 内心、えーっ そんなに疲労感あふれる顔をしているのか?自覚ではそれほどでは無いつもりなんだがなあ。と思いつつ、「ええ、そうです。押して上がってきました。1時間50分かかりました」
とそんな言葉を交わした後、「あの-すみませんが、子供さんに読んでもらってあげて欲しいものがあるんです」 といいながらリュックから 「こどもの日」
を取り出しました。小学生の女の子に二つ折りにして手渡しながら 「今は読まないで おうちに帰ってから読んであげてね。友達にもそう言ってあげてくれると、ここに出てくる子供達もきっと喜んでくれると思うしね」
と。また、その子のおばあさんには、大勢の子供が読んであげて下されば、きっと子供達も浮かばれると思います。・・・・・とも。浮かばれるという言葉で凡その内容は察しがつかれたご様子でしたが、お孫さんには 「良かったねえ、いい物もらって、良かったねえ」
とおっしゃっていました。有り難いという嬉しさと、大川小学校の様子を思い出してこみ上げるものを抱えたまま お別れをしました。本当にありがとうございました。お孫さんが読んで下されば、また更にそのお友達が読んで下されば、子ども達はきっと天国で大はしゃぎすると思います。 さて、お参りの後、休憩所でゆっくりと弁当を食べ、ゆっくりと、降りてきた道を歩いて上がり、駐車場付近へ戻りました。 |
下り始める直前に撮った(13:38)写真です。 |
下りは乗ったままで降りる事にしますが、ブレーキ操作は緊張します。前方は見ただけでも恐ろしいというのが実感でした。多分、お買い物用の自転車でこの坂道を下れば1〜2分以内に大怪我をするか天に召されると思います。左のブレーキレバー
(後輪) は目一杯引いています。右のレバーは7〜8割ほどの加減で引いています。それでも人間なら駆け足程度(時速8キロ)は出ます。- - -ロードレーサーのブレーキは原付バイクと遜色ない位良く利きます-
- -。道は狭く曲がりくねっていますし、時々乗用車も上がってきます。私はライトを点滅させながら下っていますが、車にしてみれば予期しない物が降りてきますからそれなりに怖いと思います。一度は、右カーブの手前で木立の間に対向車が見えました。私には心の準備がありますが相手は思わぬモノと遭遇し驚いた様子。私もできるだけ左へ寄せて下っていましたが路肩には木の葉や小枝が溜まっていますから寄るのにも限度があります。このときばかりはその溜まりへ突っ込んで足を地面に着けました。着けたとは言っても、停止するまでに足は2〜3歩前へ移動します。車のドライバーさんは余程驚かれたのでしょう、この後、時々クラクションの音が聞こえました。カーブの度に鳴らされたのだと思います。申し訳ありませんでした、と誤っておいた方が良いのでしょうね。時間は計っていませんでしたが、あっという間に料金所へ着いたという記憶があります。 横峰寺からホテルまでは57qだったようです。一応平坦道と思っていますから何の心配もなく行けます。途中、新居浜にある 「くすりのレディ・中萩店」 という所で、バンテリンクリームを一つ購入していました。ホテルには17:30到着とありますから2時間で57qを走った事になります。それも、ヨレヨレの爺さん (他人から見ての話し) が、しかもホテルの場所がよく分からなくて迷った挙げ句ですから。- - -早い!!- - -。迷った事をさっ引けば平均時速30キロほどで走った勘定です。とは言っても当然の事で、この日は猛烈な風が吹いていました。しかも追い風です。(*^_^*) 懸命に思い出していると、時速40キロ超ほどで走った区間がありました。 ともあれ よくもまあ ずっこけもせず無事ホテルに到着。私の部屋はフロントとロビーがある2階、それも一部屋目でした。ロビーは高校生の男女で大賑わいです。スポーツ大会があってその一行らしい。BGMも私には分からない曲が流れています。しかし防音が行き届いていて部屋はとても静かでした。自転車をどうするのかと聞くと、「お部屋には置けませんので・・・」。 思案をした後 「1階の建物裏に良い場所がありますから、どうぞ」 と言って案内されました。なるほどここなら目立たないし万一の雨にも心配はなさそうです。昨夜はもの凄い風が吹いて立っていられない程だったとのことです。倒れないようにしっかりと固定しました。 食事を済ませてロビーで新聞を読んでいると、背が高く (少なくとも私よりも) ヘルメットをかぶり全身完全防雨装備を着用しその上に遍路用の白衣を羽織った美人が受付に現れました。結構遅い時間帯です。もう一人、連れの女性は表で自転車の番をしているらしい。 - - -念のため弁解しておきますが、聞き耳を立てているわけでは無く、直ぐ横ですから聞こえてしまうのです- - -食事の時間を確認すると大急ぎで風呂を済ませた様子で、食堂に消えました。新聞に目を通しながら、ふーん 女性二人、自転車でお遍路をする人もいるんだ。 - - -そんな状況は記憶に残っているのに、その日の新聞記事は全く思いだせません (どういうこと?) (*_*)- - - 朝食は6:00〜ですが、ホテル受付女性の話では、宿泊者が多いので7時までに済ました方が良いですよとのこと。5時過ぎに目覚ましをセットします。いよいよ明日一日でこの旅はお終いです。65番三角寺・66番雲辺寺・67番大興寺で私としては結願になります。出てくる前に家内からは、一昨年の秋に土産として持ち帰った 「熊岡菓子店の石パンを沢山買って来て欲しい」 と言われていますし、金比羅さんで孫娘の合格感謝の絵馬を掛けてきて欲しいとも言われています。言うは易く行うは難しですよね。しかし予定キロ数からすれば何とかなるかな? ・・・・・・・・寝ます・・・・・・・・・・ |
第1日目(4/28) 輪行〜39番延光寺〜40番観自在寺へ戻る 第2日目(4/29) 41番龍光寺〜43番明石寺へ戻る 第3日目(4/30) 44番大寶寺〜45番岩屋寺へ戻る 第4日目(5/1) 46番浄瑠璃寺〜53番円明寺へ戻る 第5日目(5/2) 54番延命寺〜59番国分寺へ戻る 第6日目(5/3) 61番香園寺〜64番前神寺へ戻る 第8日目(5/5) 65番三角寺〜67番大興寺 そして 金刀比羅宮へ 第9日目(5/6) いよいよ帰途へ そして 感じたご縁と私の遍路へ VolV.サイクリングの思い出目次へ VolV.トップ頁 Vol.U トップ頁 Vol.T トップ頁 |