ゾラ （1840年～1902年） は獣人を新聞連載として発表したようですが、翌1890年に単行本として発売しました。フランス最初の鉄道は1832年に開通し、作品の舞台であるパリ～ル・アーブル間228㎞は1843年から1847年に開通しています。
・・・・読書の参考として位置関係を調べるとこんなことが判りました。東海道新幹線なら、掛川駅で東京駅から229.3km。東北新幹線は、郡山駅で東京駅から226.7km。上越新幹線なら、燕三条駅で東京駅か237.4kmになるようです。移動に要する時間は良くわかりませんが比較にならない事は間違いありません。・・・・
また英国人のアガサ・クリスティ （1890年～1976年） は 「青列車の秘密」 を1928年に、 「オリエント急行殺人事件」 を1934年に発表しています。
更に松本清張 （1909年～1992年・小倉に清張記念館在り） の 「点と線」 は1957年発表で、詳細な時刻表検索が為されています。「ゼロの焦点」 は1958年発表、 「砂の器」 は1960年発表で、操車場の死体が中心に置かれていました。私は清張の作品は読んだ記憶がありますが、最後の種明かしでガッカリしてしまい （良くできている証拠） 以来推理小説は読みませんでした。
この獣人は金と愛の三角関係と憎みに溢れた作品です。小娘を欲しいが儘にするエリートの老男性、人妻にちょっかいを出す男、そう在りたいと願い行動する女性。妻が少女時代に老裁判長からもてあそばれていたことを知り、遂には走る列車内で妻を巻き込んで裁判長を殺害する夫。ラ・リゾン （女性名？） と自身で名付けた蒸気機関車を愛人のようにこの上なく慈しみながら走らせる機関士。最初の殺人は列車内での裁判長殺しですが、展開の中で次々に関わった人間が殺されていきます。自然な優しさをもった人達はサラッと登場するのみで、いつしか殺人の連鎖に展開して行きます。遂には何の関係も無い多くの列車乗客を巻き込んで、機関士と助手とラ・リゾンに代わって走る機関車もろとも消え去ろうとするところで終わっています。幾度も表現される男女の性愛に関しては適切な処で筆を止めていると言えますが、134年昔の真面目な小説の文章ですから、日本に置き換えるとかなりきわどい描写だと思います。変な解釈に繋がるかも知れませんが、当時からフランス （欧米諸国） は日本よりも相当開かれていた事がうかがい知れます。しかし一方では列車の出発時刻や到着時刻が意識的に書かれており、当時の時刻表があればその意味でも楽しめたかと思います。少し残念な気もしますが随分昔のことですから、当然ながら時刻表は存在しません。
この作品だけに焦点を当てると前述のようになりますが、作品は 「ルーゴン・マッカール叢書」 の第17巻にあたりますから第1巻から全体を通して解釈すると、一家族を出発点として続いていく家系としては様々な人達を描いています。私の家族をスタートとして過去や未来を見ても、100年200年300年を隔てた先にはDNAで繋がるとは言え、どのような人物が居たか、現れるかは想像できないということでしょうね。
折角ですから読書の風景が広がるように 偶々持っていた写真を添えます。
小倉城天守閣からの風景
（直ぐ横に清張記念館在り）
2004.09.20
JR木次線 亀嵩駅（ｶﾒﾀﾞｹ）
「砂の器」 舞台
2019.11.04,
JR木次線 亀嵩駅 待合室
2019.11.04,
JR亀嵩駅から宍道駅
（左方向） へ向けて
出発する列車
2019.11.04, 09:24
この列車とは無関係ですが、木次線を走っていたトロッコ列車 「奥出雲おろち号」 は2023.11.23 で運行を終了したようです。
一畑電車 （ばたでん）
松江宍道湖温泉駅
出雲市駅行き
2003.09.21, 11:18
山陰本線・伯備線・山陽本線
出雲市駅から岡山駅行の
スーパーやくも
2003.09.21, 16:35
道の駅夕日パーク三隅から
JR山陰本線と日本海
2007.04.29, 7:15
