《私の本棚 第189》   平成24年11月号

  「ウージェーヌ・ルーゴン閣下」  エミール・ゾラ 作

 「ルーゴン=マッカール叢書」 なるものが存在することを知って、それならいっそ全部読んでみたいと思って順に読んでいます。これは第六巻です。およそ私は政治にまつわる物語なんぞは読みたくも無かったのですが、全部と決めたからには読まざるを得ないと言うのが率直な思いでした。
 叢書の中の位置付けとしては第一巻の 「ルーゴン家の誕生」 にでてきたウージェーヌが主役です。彼は1852年12月のナポレオン三世のクーデターに加わり、ルーゴン一族繁栄を確固たるものにします。一時は失脚しますが、実際に起きた1856年1月の皇帝夫妻オペラ座前暗殺未遂事件を事前に察知したことで内務大臣に復帰。その後取り巻きの裏切りで失脚。その後再度、無任所大臣として復帰をするところで終わっています。
 こまごまとした内容は、読まなくても昨今の日本の政治を見ていれば分かるものです。東日本大震災、原発破壊と再稼働、島々の領有権問題、日米安全保障条約に関連する事項、消費税、生活保護、年金等々山積する問題をどう解決して行こうとするのか見えない。それどころか見えてくるのは党利党略・私利私欲ばかり。ありがたい 「国民」 という言葉は、政治家の言葉の単なる前置詞のようにさへ感じます。
 私はこの本を読んでホオーッと思ったのはクロランドという女性の表現です。男の気を惹きながら (そうです、触れなば落ちん風情で有りながら) その美しい顔の裏でしっかりと打算をしている。ウージェーヌ閣下でさえも、か細き腕で振り回す。下心あるウージェーヌの勧めで別の男性と結婚をすると、その男性を巧く大臣に就任させてもらい、陰で操ります。男の権力への執着と同時に、女の強い変化球とでも表現すべき権力欲を描き出していると思います。

   その筋の玄人女性を小説の為に研究したと言うだけの結果があったのでしょう。
 
赤間神宮、結婚式、あんな本こんな本




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