《私の本棚 第186》   平成24年8月号

    「銀河鉄道の夜」  宮沢賢治 作

 京都大丸で宮沢賢治展をしていましたが、その会場で挿絵の美しさに魅せられて購入した本の中に収められていました。賢治の作品は子供の頃に、読んだ或いは読もうとした記憶はあるのですが、当時好きになれませんでした。
 よく分からないと言うのが率直な感想でしょう。近くの文化センターでプラネタリュウムを見る事ができるのですが、その時に銀河鉄道999も上映されています。
 ストーリーとしては、学校で銀河系宇宙の話を聞き、その夜の烏瓜を流す祭りの夜に、寝転んで天の川を見ている内に夢を見ます。銀河鉄道に乗って不思議な旅をするのですが、目覚めると一緒に旅をしていた友達が川に流されて死んでしまったということを知ります。 解説にもありますが、賢治の作品はどんなジャンルにも属さない独自のものです。一般読者としては、自分の知識や経験で読もうとすると無理があるように感じます。素直に文字を追いながらその場面に自分を溶け込ませないと感じられないものがあるように思うのです。ここ20年くらいでしょうか、映画の題名は思い出せませんが、似た雰囲気の作品が沢山あったように思います。向こうに居た人が突然傍に現れたり、いきなり景色が変わったり、ある種の混乱さへ感じるような映像です。

 他の童話はまだしも、この作品は当時の子供にはあまり楽しいお話ではなかったのではないかと思います。いや、今の子供も大人もついて行きにくい作品だと感じるのは私だけでしょうか。
    
銀河鉄道 宮森橋梁 
五所川原、立ち佞武多、あんな本こんな本




 五所川原の立ち佞武多

 
   前の頁、マテオ・ファルコーネ    次の頁、信号手    VolV.目次へ    VolV.トップ頁 

  Vol.U トップ頁   Vol.T トップ頁