《私の本棚 第338》 令和6年6月27日 号 「世に銭ほど面白き物はなし」 前川 淳 著 図書2024年6月号より |
今年の「図書」は私に馴染み易い文章が多く集録されています。今回、折り紙研究者の前川氏は、斉藤茂吉が留学を終えて帰国後に書いた 「紙幣鶴」 という文章を読んで、数学的思考を加えながらどのようにして折るかを考えておられます。(私なんぞは紙飛行機と鶴しか折った記憶が無く、折り方に至っては全く思い出せませんが)
『紙幣といえばそれは長方形であるから奇麗に折ることはできない。折り鶴の用紙形は、物理学者の伏見康治や数学者の川崎敏和、そしてわたしによって、四辺が円に接する四角形でなければならないことが1980年代に示されている』 この後に続く文章はほぼ理解不能ですが 『しかし・・・・非ユークリッド幾何学の一例として・・・・考えると長方形でもきれいに折り鶴が折れる』 と。 とは言え茂吉が留学していた100年前のウイーンのカフェで折られていた鶴は長方形の紙幣を正方形に折り畳んだか、四角形に切り取って折ったと推測する。と述べられています。 そこから話しは展開し、一般に流通している紙幣の縦横比率は約1対2だが、当時のオーストリアのクローネ紙幣は2対3で正方形にもし易かったろうと結論づけられています。 紙幣を折り紙の材料とすることは日本では一般的でないが、海外、とくにアメリカでは愛好家の間で広く浸透していると書かれています。そこでは紙幣の模様を作品に活かすことが楽しまれているようです。 話しは転じて 「貨幣」 に。穴の開いた日本の五円や五十円硬貨は世界的に珍しがられているが、著者の思いはイギリスの50ペンスと20ペンスで形は七角形。ただの七角形ではなくルーローの七角形と呼ばれる形になっているとの事です。もうここまで話しが広がるとほぼ理解不能です。せいぜい私の誕生した頃に発行されていた紙幣や硬貨は此れか!くらい迄ですね。 昔の学校の算数や数学では七角形を描く事はスルーしていたと思います。つまり360度を7では割り切れないからでしょうね。割り切れなくてはコンパス・分度器・定規では描けません。でもこの問題を解説するサイトがありましたので、興味のある方はご一読を。 (参照: 多角形 ・ ルーローの多角形) それよりも私は斉藤家の支援を受けて東京帝国大学医科大学に入学した年、日露戦争に出征した実兄からの送金を受けた事を詠んだ、銭の歌の方に一層惹かれました。 『書 よみて賢くなれと戦場のわが兄 は銭を呉れたまひたり』 因みに前川氏の表題 『世に銭ほど面白き物はなし』 は井原西鶴の 『日本永代蔵』 が頭に浮かんだのでそうしたということです。 |
![]() 広島平和記念資料館 オバマ大統領の手折り鶴 |
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