《私の本棚 第266》   平成30年4月27日号

   「昨日までの世界」   ジャレド・ダイアモンド 著


 著者の作品は過去に 「銃・病原菌・鉄」 をご紹介しましたし、アリスロ・バーツ氏の著書 「人類20万年遙かなる旅路」 もご紹介しました。共に人文地理学的な読み物です。その頃まではなるべく文学作品のご紹介を心がけて来ましたが、何となく、拘らなくても良いかな?という思いが湧いてきて多少変わりつつあります。これらの書物を読んでいたり、TVでつい近年まで未開と呼ばれていた地域を紹介する番組を見ていると、自然に 「ガラスの天井」 という言葉が浮かんで来てしまいます。このことはまたの機会に譲ります。
 よく知られているように人類はアフリカの大地で誕生し、北上をしながら進歩してきました。アラビア半島から中近東・アジア。そこからオセアニア・オーストラリア (先住民はアボリジニ) へ拡大したもの。アラビア半島からヨーロッパへ移動し北欧やロシアへ。アジアから更にはシベリア経由アラスカ・北アメリカを経て南アメリカまで広がってきました。私たち日本人から見て余り違和感のない顔立ちをした人達が、シベリアから更には太平洋を挟んだアメリカ大陸に沢山住んでいます。アメリカ合衆国 (先住民はインディオ) と聞けば白人が浮かんできますが、本来は私たちと比較的近い血統でだということで間違いないかと思われます。

下の切り抜き記事を参考になさって下さい。
 
あんな本こんな本 



 京都新聞 2016〜2017年頃の切り抜き
あんな本こんな本



 同上の
 切り抜き 
あんな本こんな本 



 京都新聞
 
 2018.02.10 切り抜き

あんな本こんな本 



 京都新聞 

 2018.4.20 頃の切り抜き

 著者はニューギニアを何度も訪れ長期滞在をしながら研究を続けて来ました。ニューギニアには文明と接触したことの無い部族種族が沢山存在していましたし、現在もそのような状況にある部族も多いということで、研究には格好の土地であるようです。文明社会に生きている私たちから見れば、意味不明・奇っ怪・残酷・生きる知恵・戦争 (部族間の争い) ・危険回避術・宗教・組織・食生活・狭小地域の部族間で異なる言語など、飛行機でならあっという間の時間的距離に、私たち人類が辿ってきた遙かな過去を見る事ができます。言語 (方言を含めない) は現在世界に約7000言語残っているらしいのですが、文明の拡散速度が速まると共に言語消滅のスピードも勢いを増しています。次の一世紀ほどの間には言語数は数百程になると予測されています。世界の言語数は少ないほど意思疎通に有効とも思われている現在ですが、著者も言われるように必ずしもそうではないと思います。例えば日本語には色々な 「言い回し」 表現があります。自然現象・人称その他沢山の言葉が存在します。しかしそれだからこそ日本人なのだと思います。アフリカのピグミー族の言語には舌を上顎に打ち付ける打音が言葉として存在します。それはニュージーランドにもありますし、記憶では南米アマゾンの種族にもあったように思います。ヨーロッパ言語には無い抑揚の違いによる意味の相違、例えば日本語で 「雨と飴、蜘蛛と雲」 は東南アジア・北アメリカ先住民にもあります。そういう事を知れば現在の私たちが何気なくとっている行動も、何となく自分なりにその意味を理解できるような気もします。 
あんな本こんな本、小樋尻遺跡


 京都府城陽市

 小樋尻遺跡発掘地

 
あんな本こんな本、小樋尻遺跡


 同上 
あんな本こんな本、小樋尻遺跡



 同上  

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