《私の本棚 第194》   平成25年4月号

    「マタギ」 田中 康弘 著

 書店で背表紙を見た途端購入した一冊です。マタギの存在は子供の頃から知っていました。その記憶では、雪深い山中に独り分け入って、熊を撃つときは股木 (木の枝が二股になったもの) を支えに使うからマタギと呼ばれているというものでした。
 いつの頃か 「伝説のマタギ」 と呼ばれる人がいて、大変な熊撃ち名人だったという事も知りました。体力と胆力、自然を恐れずそれでいて自然を畏敬する。そういう相反するような心を持った人達だと思います。 この本の中には熊撃ちだけでは無く、ウサギ、川魚、茸など自然の恵みを無駄なく自分の命に置き換えるという生活が見えてきます。
 普段は別の仕事、鍛冶屋であったり農業であったりですが、自然からの恵みを頂戴できるときはマタギとして行動します。普通に言うところの 「結い」 でもあります。熊が獲れればその日に参加できなかった仲間にも均等に分け与える。
 秋田県中央部に 「秋田内陸縦貫鉄道」 が走っています。鷹巣から角館までの印象に残る鉄道です。この鉄道に乗っていると、マタギの存在はごく自然の事のように感じます。
 
秋田内陸縦貫鉄道、上桧木内駅、あんな本こんな本






  秋田内陸縦貫鉄道

 上桧木内

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