《私の本棚 第177》   平成23年12月号

  「墓堀男をさらった鬼の話」 チャールズ・ディケンズ 作

 ちょっとミステリーなおとぎ話。世をすねた墓堀男がクリスマスイブの夜にやり残した墓堀の続きをします。人が幸せそうにしていると無性に腹が立ち、嫌みを言うのが常です。この夜も墓堀に向かう途中、クリスマスの讃歌を練習していた子供をひっつかまえて、カンテラで何度も殴ります。子供が泣きながら逃げていくのを見て楽しくなるのでした。
 ウオッカを飲みながら墓堀をしていると、先程から子供を泣かせる様子を見ていた鬼が現れ、このゲイブリエルを地底に連れて行きます。地底で鬼に様々な、人の哀しみや喜びを見せられます。そこで人の幸せというのはお金や物の豊かさではなく、心の持ち方であるという事に気づき、自分の生き方が間違っていたことを悟ります。

 しかし、最後は 「クリスマスに一人で酒を飲んでいても良いことはない」 として括っているので、子供に教訓を示す童話なのでしょう。因みにイギリスではおめでたいクリスマスに怪談をするというのはよくある習慣なのだそうです。
この話は七年後に書かれた 「クリスマス・キャロル」 の下敷きになっています。
 
クリスマスイルミネーション、ゲゲゲの鬼太郎、あんな本こんな本






クリスマス
イルミネーション

 ゲゲゲの鬼太郎
 
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