《私の本棚 第155》   平成22年2月号

    「リュシス」    プラトン 著 

 紀元前380年頃の著作。プラトンはギリシャの哲学者でソクラテスの弟子。「饗宴」の方が一般的によく知られていると思います。

 饗宴は恋愛について書かれており、リュシスは友愛について書かれています。しかしこの、「書かれています」 というのは翻訳者の受け売りで、実際の所、時代も異なれば習慣も違いますから 「実感としては?」 というのが感想でしょうか。訳者によると饗宴は恋愛の本質と価値を主題とし、リュシスは友愛の動機と本質を主題としているとされています。
 「友愛」 は同性間の友情、「恋愛」 は異性間の愛を思い浮かべますが、プラトンが題材としているのは男性と男性との間の愛です。更に恋愛は年長者と年少者との間の愛で、友愛は同年代の間の愛です。このような恋愛は当時のギリシャでは一般的な風習だったと言われています。登場人物は十二、三歳くらいの少年二人、十六、七歳くらいの少年二人、そしてソクラテスです。友人関係があり恋愛感情が存在し、更には男性間の心の動きです。それを哲学的に論考しますから、二重の意味で難解です。私が難解と感じても何ら恥ずかしい事ではなく、学者の間でも論争が続いているそうです。

  昨年総理大臣になった鳩山氏も友愛の精神を口にされています。こちらも難解です。

  共にここまで難解になると、私のような凡人は・・・・まあどうでも良いか・・・・という所ですかね?
兵庫県、湯村温泉、あんな本こんな本






 兵庫県

 湯村温泉

 
   前の頁、春の雪   次の頁、恩讐の彼方に    VolV.目次へ    VolV.トップ頁  

  Vol.U トップ頁   Vol.T トップ頁