青森県五所川原市 から 新潟県新潟市 まで
                
お花見気分サイクリング 

    2012年(平成24年)4月28日(土)〜5月5日(土)          63歳 (もうすぐ64歳)


第2日目 4月30日(月、振替休日) 五所川原から十和田湖経由 秋田県鹿角市へ

 4:00起床 フロントで教えてもらってサンクスまで朝食を買いに行き部屋で腹ごしらえ。5:15スタート。黒石から十和田湖まで約50qくらいが上りになるが、全体が125qしか走らない予定なのでまあ普通かな。そんな軽い気持ちでホテルを出た。紀伊半島では弁当購入ミスでハングアップをしたので、「弁当・べんとう…」 と自分に言い聞かせながら走り、予定通り北津軽郡板柳町のローソンで昼食弁当と お茶を購入して備える。道を聞いて走るが次第に向かい風が強くなってきた。7:47道の駅虹の湖で日当たりの良い場所を探して昼食にする。開店準備の人が二人ばかりいた。
黒石温泉郷、道の駅虹の湖







 
十和田道をかなり強い向かい風の中、高度を上げていくと道の両側は雪が溶けずに残っている。この時期に雪を見る体験は記憶に無い。 
溶けずに残る雪






 
 もっと寒いと覚悟をしていたが、意外に程良い気温で走りやすい。とは言うものの、着込んでいるのは吸汗発熱シャツと冬用の薄手ジャージー・その上に防風防水の薄い上着を羽織っている。それにしてもやはり寒くないという表現がしっくりする。蕗のとうが雪の中から自分の周りにだけ穴を開けて顔を出していた。それも1本や2本ではない。自分の住む所では蕗のとうは 「1本」 ではなく 「1個」 や 「一つ」 で数える。万一小さなゴルフボールくらいのが頭を出すと大抵は摘み取られるようであまり見かけない。それ以上に伸びて 「1本」 で数えるようになるまで残っていることはまず無い。若し残っていてもそこまで大きくなると誰も見向きもしなくなる。本当に摘み取るというより鎌か何かで刈り取る方が良さそうな感じだ。写真を撮ろうかと思いながらも、余りの向かい風の強さと長い勾配を上るのに懸命で何となくやり過ごしてしまった。走りながら二度挑戦の明石〜小倉の24耐を思い出していた。「この勾配で向かい風、上りきれるかな」、「短い行程だし大丈夫だろう、ゆっくりと上ればいいか」 などと考えながらペダルを回す。そうだ、気分転換を兼ねて試しに引き足の練習でもするか。引き足ペダリングは難しく、一度始めた練習を止めた記憶がある。やってみるとかなりギコチナイがそれなりにできるように感じる。ではこの坂道はペダリング練習のつもりで上ることにしようと気持ちもギヤチェンジ。 
 10:00 後300bで子の口と休屋の分岐 (恐らく頂上) まで来た。記念写真を撮る。
子の口分岐モノトーンの十和田湖







 
 あっ!十和田湖が見えた!と、感動が湧き上がる筈の次の瞬間、「…色が無い…、モノトーンだ…」。この時の落胆、少しはご想像頂けるかと思います。むりもないのだが自分は新緑が芽吹いた京都から来ているわけで、ここは青森。でもねえ、彩りが無いねえ。ガッカリしながらも坂を下り始めた。そうそう、今回は是非試してみたいことがあったんだ。一旦停止後デジカメをセットして坂道を再び下りながら走行風景の動画を撮影。
 そうしてみてもやはり 「モノトーン…」。 なんか気合いが入らないなあ。
 
和井内の展望デッキ

和井内の展望デッキで愛車を撮影中に 同年代の男性が近づいてきた。
「シャッターを押してあげましょう」 とおっしゃる。
「いえ、ありがとうございます、でもいいんです」
「遠慮は要りません」
「いえ本当にいいんです」
「そんなことはないでしょう、本当は押して欲しいんでしょう。押して上げます」
「(えー、そこまで言うの!) いえ本当に要らないんです」
 ここまで執拗に親切を言われると、「では」 と口から出かかったもののそれもしづらい。それどころか 「では奥様と一緒の所を押して上げましょうか」 とも言いづらくなってしまい、飲み込んでしまった。お断りをしながら話していると、大阪から夫婦でワンボックスカーで来られているらしいことが分かった。本当は九州へ行く予定だったが天気予報をみてこちらへ変更したとのこと。車中泊の強みですね。
 後で通ることになる発荷峠への分岐を過ぎると、すぐに観光船乗り場に続いて建物が沢山見えてきた。先ずは乙女の像を見にいくことにする。それなりに観光客も 歩いているので自分も自転車を押して歩く。乙女の像っと…どれかな?裸婦が二人向き合っている像はあるが…。あっ、これか?でも乙女には見えにくいんだけれどなあ
 
                右写真 高村光太郎 作 「 智恵子 像 」   互いに 一方は内面であり 一方は外形を表現
十和田湖、遊覧船十和田湖、乙女の像








 
 自分と同年代の爺さんが、嬉し恥ずかし(^o^)の表情で照れながら乙女をバックに記念撮影をしていました。湖を眺めていると観光船が航行している。もう少し春らしい色彩の景色なら乗船するんだけれどと思いながら眺めていた。丁度昼時になったので茶屋でうどんを食べることにする。もう3ヶ月くらい前から胃の調子が悪いので、2週間ほど前に慌てて医者へいって薬をもらった。ましになったがやはり量を食べられない上に油っこいものも避けている。土地柄合わないけれど 「稲庭山菜うどん」 を注文した。うどんと色々な山菜を食べればバランスも良いかなと思っての事だが、テーブルに置かれた鉢を見て 「なんだこれは?ワラビがぱらぱらと浮かんでいるだけやないか」。落胆と同時に 「こんな田舎で(失礼)、もうチョット気持ちを込めたらどうやねん」 と少し腹立たしい。自販機でお茶を仕入れて発荷峠へ向けて出発。竜泊ラインとどちらがきついかなと考えながら休みやすみ上る。途中工事箇所があり、その赤信号さえも有難い。 
十和田湖発荷峠展望所







 
 展望所から念のため景色を眺めるが、変わるはずも無くやはり自分と同じ高齢者色。ほどほどにして花輪へ向かうことにした。予め地図では途中に縄文時代の環状列石遺跡があるのを知っていたので、できたら寄り道をしてでも見学をしたいと思っていた。案内板に沿って脇へ入っていくと発荷峠と変わらないような坂道になってくる。どうやらそのまま4qほど先らしいので諦めた。十和田ICに近いGSで道を尋ねると、立派な観光地図を出してきて説明してもらった上頂戴しました。 
鹿角花輪ばやし




 
 花輪市では花輪ばやしの山車を展示している観光館へ直行。規模の違いはあってもどこでも祭りと山車が定番になっている。横の売店で 「北限の桃、ピーチアイスクリーム」 という看板につられて食べてみることにした。ウンうん、美味しいので納得。来た道を引き返してホテルに向かった。 
鹿角市のホテル窓から


 宿泊したホテルの窓から

 
 15:52 チェックインを済ませると、独りでフロント番をしていたお兄さんが丁重に 「あの客様、その自転車はお部屋に持って行かれるのでしょうか…」 と迷惑そうにおっしゃる。その言葉を聞くと同時に昼のうどんが浮かんできてイライラっとするが (余程腹立たしかった?) グッと堪えて、「どこのホテルでもいつも持ち込んでいます。高価なモノであるのと慣れているので部屋は汚しません」。(と恐らく強い口調で言ったでしょう。)
  「失礼しました…」
  腹の中で「ヨロシイ!」
夜はホテルのレストランで食べたが、領収書を見てもどんな料理だったか思い出せない。
きょう走りながらもずっと考え続けていたのだが、十和田湖がモノトーンなら田沢湖も間違いなくモノトーン。おそらく向かい風の中、田沢湖まで1000bの高度を上るがそれは構わない、でもやはりモノトーン。秋田縦貫鉄道で角館まで輪行しようかどうしようかと迷い続けている。明日の行程を迷うことができるのには理由がある。計画を立てる段階でもし田沢湖までの道に雪が残っていたら迂回をするための手立てを考えてきていた。自転車で迂回すると相当な大回りになり2倍近い道のりになる。ホテルの予約などを考えると輪行しかなかった。取り敢えず花輪のホテルから玉川温泉へ電話を入れて確認し判断するという段取りだった。しかし道路上に雪は無さそうだが 「モノトーン…」。決して玉川温泉の雪崩事故や熊牧場の事故が気持ちに影響しているのではないが、あれこれ思案の後、ええーい残念だが輪行することにしよう。何かしら重い気持ちで自転車の収納に取りかかった。
  明日になればこれが大正解だったことになるのも知らず、複雑な気持ちで自転車を収納していた。
 
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