《私の本棚 第290》   令和2年6月15日号

    「青色革命」 石川 達三 作

 題名は革命などと仰々しいものですが、そんな大げさな内容ではありません。共産党 (対比して赤色) が大いに世間の耳目を集めて意気盛んな時代 (設定は昭和16年頃) にあって、主人公の小泉教授とその家族が何となく時代に絡むような絡まないような状況を描いています。
 失職中の小泉先生は悠然として日々を過ごしています。奥さんは家計のやり繰り、息子二人は些か共産党かぶれになりながらも小遣いや学費工面の為に隠れ高利貸しを楽しくやっています。同居する姪は結婚するでなくしないでもなく、ぬらりくらりと二人の男性からのアプローチをかわして楽しんでいるようにも見えます。切実さは感じられず、そんな家庭もあるかも知れないという雰囲気です。日本の歴史を研究する先生は、わが身の置かれている状況を取り立てて苦にするわけでもなく、飲み屋の女将さんと人生最後に少しだけ羽目を外して楽しみたいなんて事を一寸だけ想像します。流石に女将さんは客商売、そっと先生の小指を握って甘い声を出したりします。しかし中々世の中はそれほど甘くはありません。自分がかつて担当した史学科教え子の犬飼に先を越されてしまいました。登場する犬飼という教え子は、残念ですが読者である私の嫌いなタイプの人間です。途中で読むのを止めようかと思いましたが、堅苦しい小説ではなくホンワカとした漫画を読んでいるような気持ちで読了しました。

  こんな小説もアリですね。 
あんな本こんな本、梅雨の青虫 


 梅雨入り時の青虫

 余談ですが、この幼虫
 がさなぎになった状態
 は研究者が頑張っても
 解明できないのだそう
 ですね
 

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