《私の本棚 第251》   平成29年7月23日号

     「ほらふき男爵の冒険」 ビュルガー編

 ビュルガーは1747年にドイツに生まれました。ゲーテとほぼ同年齢で交友もあったようです。
登場人物のほら吹き男爵は架空の人では無く、実在したミュンハウゼン男爵の面白話をまとめたようです。ミュンヘンハウゼン男爵1720年に生まれ1797年に亡くなっています。在地の貴族で相当由緒ある一門の出身です。この男爵が存命中の1781年にはベルリンで出版されていた 『面白文庫』 にも 「m-h-sの物語」 として収録されていたそうです。
 出てくる話はどれも一寸聞いただけでホラと分かるものばかりで、その意味に置いて全く罪の無い笑話ばかりです。それらの話を題名だけ
ご紹介すると、「教会の塔から馬を撃ち落とす話」 「馬の代わりに橇を引いた狼の話」 「目から火花を飛ばして鴨を撃つ話」 「狐をむき身にして毛皮をとる話」 「桜んぼで鹿を撃つ話」 「真っ二つになった軍馬の話」 「足がすり減った猟犬の話」 などなど一編毎の題名からも察しがつきます。
 しかし法螺話もここまでくると何の罪もなく、よくこんな話を思いつくなあというのが実感です。
「教会の塔から馬を撃ち落とす話」 というのは、厳冬期に馬で旅をしていたが、疲れたので雪の上にでていた杭に馬をつないで仮眠をしていた。明くる朝気がつくと馬は教会の塔のてっぺんにぶら下がっていた。夜明けとともに気温が上がり、雪が溶けて無くなったので、自分は地面の上に馬は教会の塔の上に残されていた。仕方なく拳銃で手綱を撃って切り、馬を降ろしてやったという話です。
 娯楽と言えば友人知人が集まり、酒を交わしながらとりとめの無い話をする時代。嘘と分かる凄い作り話でお客様方に喜んでもらえただろうと思います。読んだのは岩波文庫ですが、挿絵が楽しさを増してくれました。しかし、最近のユーチューブの一部の動画はダメですね。私は見る事はありませんがニュース報道番組で見る限り、小遣い銭稼ぎなのか他人の耳目を集めたいのかよく分かりませんが、一人前の大人としてのいやそれ以前に社会人としての自覚が全く感じられません。嘆かわしい限りです。
 
朝顔、あんな本こんな本





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