《私の本棚 第233》   平成28年4月号

「天才!成功する人々の法則」 マルコム・グラッドウェル 著

 読みたいと思って購入したものでは無いという、私に取っては変わった位置付けの本です。それでも読み進めると、色々な意味での教育というものが、勉強のみならず様々な分野で非常に重要なものであることが明瞭に見えてきます。

 【一万時間の法則】…各方面で成功を収めた人に関して調査を行っています。プロスポーツ・ピアニスト・作曲家・チェスの名人・小説家・何と大犯罪者までも、などを調査した結果、全員が一万時間の訓練や学習を行っていると述べています。一千時間でもなく八千時間でもない一万時間。一日三時間なら一年で千時間、五年で五千時間、十年で一万時間になります。一流になれるかどうかは、一万時間を超える熱心な努力をしたかどうかに言い換えられると述べています。モーツアルトは天才と称せられていますが、ごく初期の作品で傑作として評価されているのは、三十歳を過ぎてからのものであると言うことです。
 ただ、努力だけではなく天の采配というような運もあると認めています。ビル・ジョイという優れた数学の才能を持った当時十七歳の少年が、初期のコンピュータを好きなだけ時間無制限に使える幸運に出会ったこと。また同世代のビル・ゲイツも同様であったことを挙げています。コンピュータの進歩と彼等の年齢がマッチし、そこに寝食を忘れてプログラミングに没頭したことが今日のITに繋がったとしています。
 ならば、やはり天才でなければ成功しないのかというと、天才ではあっても社会の底辺でしか生きられない人がいると言います。2016年正月のTVでこのようなIQを持つスラム街で育った少年をテーマにした映画を見ました。その時はこの本を読んでいなかったので、同じ天才のIQを持っていても生まれ育った環境で人生が大きく変わるということを認識出来ませんでした。どういうことかと言うと、恵まれた環境で育てば何らかの好ましい社会との関わり方を身に付けるが、スラム街で育つような家庭環境であるとそれが出来ない。自分の才能を恵まれた大切なものとして、社会に組み込んでいくことが出来ないということです。
 アメリカではIQに関する研究が行われていて、IQ195とか200という子供が存在するらしいのです。しかし私達凡人が慰めにしろ心すべきは、IQさえ高ければ世のため人のためになる事が成し遂げられるのではないということです。IQは130くらいになると天才と言われるらしいのですが、それ以上は幾ら高くなっても結果は変わらないということです。
 
北上展勝地、桜、水仙、あんな本こんな本





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