《私の本棚 第203》   平成26年1月号

    算数なんて勉強したくなあーい」    正月閑話

きょうは小学生のみなさんにも読んでもらえたらなあと思って書いています。 

 そうだよね、算数ってなんで勉強するんだろうね。小学校で習うことなら、買い物とか遊びの中で役に立つのはわかるよね。でも中学や高校の数学になるとずいぶんむずかしいし、いったい何の役に立つのかわからない。わからないと言うかぜんぜん役に立たないように思えるよね。私も 「こんな勉強が何の役に立つんだろう」 と思いながら、イヤイヤ勉強してたのを思い出します。
 今、本屋さんに行くと 「なぜ算数を勉強するのか」 というような本が並んでいます。きっと学校の図書館にもあると思います。私が読んだ本は、生徒がわからないことを先生に聞いて、先生が答えてくれる形で書かれていて読みやすい内容でした。前にも別の本を読んだことがありますが、小学校の算数は 「どの問題も分数と比例で答が出せる」 と書かれていました。中学校の入試問題も同じだそうです。そう言われてもねえ、勉強不足の私なんか入試問題はぜんぜんわかりません。この本にも分数同士のわり算の説明がありました。小学校では生徒たちの 「できた!」 といううれしい気持ちを大切にしたいので、意味をよく説明しないで 「割る方の分数をひっくり返して掛ける」 としか教えない。こうするとほとんどの生徒が、できた!という気分になるので教えやすい。だから中学・高校と進むとわからなくなる生徒が多いというようなことも書いてありました。分数同士のわり算の意味って本当にむずかしいよね。小学生向けに書かれていたのはそれだけですから、とっても大切な内容なのでしょう。
 さて、もっと読んでいくと場合分け (○○の時にはどうするとか、どうなるという分け方) の説明に入っていきます。この場合分けは、論理的に考える (考えかたを整理してだれもが納得できるようにする) 上で大切なことですと紹介されています。そして、どんな教科を勉強するときにも、大人が仕事をする時にも役に立ちますとも書かれています。
 人に何かを説明して自分の考え方を分かってもらいたい時、うまく説明しようとすると、まず自分が自分の考え方を筋道を通して整理しないと相手にも伝わりません。何に着目して場合分けの基準を見つけるかが大切と言うことです。何となく考えているだけではどうしていいか分からない事も、ああでもないこうでもないと鉛筆を持って絵や図を書きながら考えると、良い方法が見つかるかもしれません。算数はこういう考え方を身につけるための勉強ということです。ですから、中学生・高校生になると 「何の役に立つの?」 ではなく、この問題はどんな風に場合分けをする必要があるのか、と考えることが大切なようです。
 ここまで読んでふとある人の言葉を思い出しました。「エクセルは数学ができないと上達しないと聞いた」 というものです。私はそんな事は全くないですよと答えましたが、この本を読んでなるほどと思い当たることがあります。エクセルは簡単なものなら、IF (もしも〜ならば)、OR (〜または〜)、 AND (〜と〜) の三つを使うだけでかなりの処理ができます。これは先に言った場合分けですよね。数学ができないとダメと言った人は何を考えていたのかは分かりませんが、確かに論理的思考は必要です。例えば次の様な簡単な例で見ると分かりやすいと思います。

 =IF(OR(AND(算数の点数>=90,国語の点数>=90),AND(算数の点数>=80,国語の点数=100)),“ほうびがもらえる”,“ほうびはもらえない”)

 上はエクセルに計算をさせる (計算だけでなく、色々な知りたい答を出させることができます) ときの関数式です。言葉で書くと、「もしも算数と国語の点数のセルの値がどちらも90点以上か、または算数の点数のセルの値が80点以上で国語の点数のセルの値が100点なら、ほうびがもらえますが、そのどちらでもなければほうびはもらえません。」 となります。 

 もう理解してもらえたように、どんな場合に どうなる ・ どうする という場合分けですね。こういう考え方は確かにどんな勉強でも、将来社会人になっても大切なものです。昨年のことですが、カレンダーを利用しながら日付と時間、時刻を操作するエクセルソフトを作りました。その中で処理した場合分けは、@先ず大きく二つに場合分けをし、一方はゼロ時間、A他方は更にその中に四つの場合があり、Bその四つの中をそれぞれ更に五つの場合に分けて判断させて時間数を表示するという作業でした。それを図示したり関数を書きながら作業を進めると、一つにまとめめられる関数もあり、最終的にはそれなりに整理ができました。
 その後、エクセルは数学ができないと上達しないという言葉を思い出して、それならその反対はどうだろうかと思いました。そこで高校数学Tの問題集を購入して勉強をしてみました。子供のころあれほどイヤイヤ勉強していた数学が、視点を変えて場合分けの学習であると考えると、何と!随分簡単に進むではありませんか。こんな場合にはこうなると決まっているなら、あんな場合にはこうなるんだろうと考えられるようになりました。中高生の皆さんも、高度に論理的になればなるほど、数学とはそういう勉強だと考えると良いのではないかと思います。

 小学生の皆さんも、算数なんかきらいなんて言わないで勉強して下さい。いつかきっと良かったと思う日が来ます。お正月なのに余り楽しくない話になってしまいましたが、三学期が始まったらまた元気に勉強して下さい。 
あんな本こんな本あんな本こんな本


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