《私の本棚 第253》   平成29年8月12日号

     「生物から見た世界」  ユクスキュル&クリサート 共著

 1933年に書かれたもので、所謂学術的に立証されたという内容では無いということです。しかし、それを分かった上で読むと大変面白い考察です。生物の行動を観察し、彼ら(その生物たち)の行動は何に支配されているのかを述べています。マダニから始まってヒメバチで終わっています。丁度子供達の夏休みの宿題仕上げ期間中ですので、この本を紹介します。
 私はかつて二匹の犬を飼っていました。取り立てて余裕があった訳では無く、子供にせがまれて犬を探していたのですが、結果的にシーズー(マック)を購入すると同時に雑種犬 (第1級の猛犬チビ) をもらい受けることになりました。マックは屋内で飼っていましたので持病以外のダニは付かなかったのですが、チビはガラス1枚隔てて屋外で一生を終えました。マックは16歳、チビは18歳でした。
 このチビはあるとき突然ダニがたかるようになりました。散歩の折りに付いてきたものが子孫を増やしたのだと思われます。血を吸って腹を膨らませると、驚きの変化をします。ほんの1〜2ミリ程度のぺちゃんこの生物が、知る限りでは5ミリくらいの豆粒様に変化します。初めて見たときは血豆だと錯覚しました。犬の頭、耳、胸などで食料補給をしています。本格的に食事をする前は、私が探る手の気配で逃げようとはしますが、食卓に着けば頓着ありません。いずれにしても蚤のようにすばしこくありませんから退治されることになります。マダニは皮膚に頭を食い込ませて血を吸うと言われていますが、頭部の小ささや食後の体型変化からそのように見えるのだと考えます。チビが亡くなって10年近くになりますが、マダニはその後どこでどうしているのでしょうか。
 柏の樹皮下で成長するカミキリムシの幼虫とヒメバチを読んで、最近目撃した青虫とアオムシコマユバチを思い出しました。花柚が咲く頃になると青虫 (アゲハ) が付くのですが、面白いので時々眺めていました。あるとき、青虫の後頭部付近 (目の様に見えるところ近く) に頭を青虫の後部に向けて小さな蚊の様なものが止まっています。何かを突き刺しているようにも見えなくはありません。調べるとどうやらアオムシコマユバチのようです。もしそうなら、この青虫は寄生虫の餌になる運命のようです。二三日経ってからもう一度見てみると姿が見えません。もっぱら山椒の葉に付く黒くて気味の悪い細長い幼虫はまだ居ます。そういえば向かいの親子が塀を越えて騒がしく遊んでいました。捕まえて持って行ったのでしょうか。楽しんで観察しているのにと少し不満です。部屋にいると又表が騒がしい。カーテン越しに覗くと、またあの親子です。子供は嬉しそうに親にせがんでいます。親は花柚の刺をものともせず青虫を探しています。
 お気づきになりましたか?。この親子はきっとお向かいの電柱に渡された四角い横棒の空洞で生活する雀の六世代か七世代目でしょう。黒い幼虫も居なくなりました。自然の成り立ちは人間に計り知れないものがあると感じます。
 
青虫と蝶、あんな本こんな本




   山椒と青虫と蝶
 
青虫、あんな本こんな本




   花柚と青虫
 

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